
今日の一曲★渡良瀬橋(by 森高千里)
僕の町には駅前に小さなケーキ屋さんがある。
町のひとみんなが愛する、味も笑顔もすてきなケーキ屋さんだ。
昨日は長女と、晩御飯の前に向かった。
店はいつもの通り賑わっていた。
順番に手際良くやり取りをしてくれるのでみんな和やかに待っている。
娘はケーキを4つ、ショーケースの前であれこれ思案していた。
すると、先に注文していたお客さんに店員さんからの声がかかった。
「フルーツデコレーションケーキをホールでご注文のお客様〜」
おっ。ぃいね、お祝いかな?なんて空気が流れる。
どなたかな?って空気。
それは、後ろの方で控えめに立っていた初老の男性だった。
あー、はいはい。
若干めんどくさそうに、でも明らかに口角の上がった声色でその男性は返事をした。
「お客さま、お祝いでしょうか?」
「あー、まぁ、そんなもんや。誕生日、たんじょうび。」
「でしたら、お誕生日おめでとう、のプレートを
おつけできますがいかがいたしましょう?」
「あー、いらんいらん。そんなん恥ずかしいわ」
このあたりから店内みんな、このやり取りに夢中。釘づけ。
孫くらいの歳の店員さんがまた何とも屈託なく柔らかく来るので、
男性はかなりタジタジ。
「ろうそくをおつけしましょうか?」
店員さんは素直にサービスで接してるのだが、
もはや観客となった我らにとっては、コントでしかなくなってきた!
「ロウソクなんかさしたらえらいこっちゃ。」
「お幾つになられますか」
「61や」
あっ、ステキだなぁ洒落てんなぁ!
っつーか、話術にハマッたなww
「あーそんなたくさんロウソクよう立てん」
「大きなロウソク6本と小さなロウソク1本にいたしましょうか」
「・・・いらん、、ぅ、あー、、、、頼むわ。」
なんてすてきなやりとりだろう!!!
そこに 接客術を超えた愛を感じた。
このケーキ屋さんは、
扉までお客さんを誘い そこでケーキを手渡し扉を開けてくれる。
その男性は、
コントのようなやりとりをした孫娘くらいの歳の店員さんに
帰り際に
「ありがとう」
って声をかけて、出て行った。
その声を、僕は
観客のひとりとして、聞き逃さなくて良かった、と思った。




